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任天堂

銘柄コード 7974 

業種 その他製品

任天堂は娯楽産業の大手企業です。当社の歴史は古く、1889年に山内房治郎氏が京都で任天堂骨牌を創業し、花札を製造したことから始まります。

現在の任天堂の実質的な創業者は、1949年に社長に就任した3代目の山内溥氏になります。山内社長の就任当初はそれまでの流れを継承し、かるたやトランプなどのプレイングカードを主力事業としていました。やがて1960年頃から多角化経営に乗り出しますが、娯楽産業以外の分野においてはノウハウ不足により失敗を繰り返し、倒産の危機に直面したこともありました。

当社にとって大きな転機となったのは、1980年発売の携帯型ゲーム機の「ゲーム&ウオッチ」のヒットでした。そして1983年、アーケードゲームを家庭で遊べるようにした「ファミリーコンピュータ」が空前の大ヒットとなり、「Nintendo」は世界中でビデオゲーム機の代名詞となりました。

当社の組織資産(企業文化、理念、ビジョン)を知ることは、様々な手段によって可能ですが、私は2013年頃からの業績の低迷期において理解を深めることができました。当時は新たに発表したゲーム機「WiiU」の売れ行きが不調となり、一方でゲーム業界では新たに勃興したスマートフォンゲームが市場を急拡大させていました。

これらの世の中の変化を受けて、多くの市場関係者からは当社の業績低迷を悲観視する声が聞かれていました。「自前のゲーム機とソフトウェアというビジネスモデルは終焉を迎えた」「なぜ任天堂はスマートフォンゲームを開発しないのか?」「豊富なIP(知的財産)を活かしてもっと他社と協業するべき」など、かつて日本を代表するクリエイティブ企業とまで言われた当社に対する風当たりは日に日に強くなっていきました。

実のところ、当初は私もそのように考えはじめている一人でした。しかし、当社のIR担当者やゲーム業界の競合他社など、様々な人たちに周辺取材をするなかで、任天堂の「目に見えない資産(組織資産・人的資産・顧客資産・経営トップ)」の質的な変化が起きているようにはとても思えなかったため、興味を持ち続けていました。

経営陣の声が直接聞ける決算説明会の場においても、市場関係者とのやり取りは平行線のままでした。「スマートフォンゲームを開発しないのか?」というアナリストの問いに対して「研究はしているが、まだ私たちのなかで本当に子どもたちが安心して遊べるものであるという確信が持てていない」と岩田社長は答えました。

「自前のゲーム機とソフトウェアというビジネスモデルはもう時代に合っていないのではないか?」という問いに対しては「まったくそうは思っていない。独自のハードとソフトがあるからこそ、私たちにしかできない新しい楽しさを提供できる」といったように、岩田社長はたとえ3期連続の営業赤字の最中にあろうとも「任天堂らしさを守る」ことの重要性を繰り返し述べていました。

私は次第に「任天堂は単にプロダクトサイクルの一つを失敗しただけであって、本質を理解していないのは自分たち投資家の方ではないだろうか」と思うようになっていきました。岩田社長が発する言葉は、安心した遊びや新しい体験を生み出し続けるという信念と、それを待ってくれている世界中の任天堂ファンに対して、何があっても誠実であり続けるという決意表明のように聞こえたからです。

現在、世界的なヒット製品となっている「Nintendo Switch」は、この時すでに「Project NX」というコードネームで開発が進められていました。もしも任天堂が短期の利益を優先した経営を行っていたとしたら、組織資産は弱体化し、従業員のモチベーションは下がり(人的資産の縮小)、やがてブランド価値を毀損し(顧客資産の縮小)、企業価値は縮小のスパイラルに陥ってしまったかもしれません。

経営の苦しい時にこそ、会社の本質が垣間見えるということがあると思います。岩田社長が山内社長から受け継ぎマネジメントしていたものは、当初の私が考えていたような事業戦略や競争環境などといった領域よりも、ずっと深いところにあるものでした。

私は任天堂の「目に見えない資産」の評価である「GENSENスコア」において最も高い点数を付与し、当ファンドのマザーファンドである「ニッセイ国内株式GENSENファンド」の立ち上げ時にトップウェイト銘柄として組入れを行いました。

それから4年以上の月日が経過し、任天堂のトップも岩田社長から君島社長、古川社長へとバトンが受け継がれてきましたが、当社への評価は変わっていません。足もとでは新たなニュースフローとして、ゲーム業界最大手のテンセントとの協業が発表され、中国本土での事業展開の期待が高まっています。

また、当社の人気IP(知的財産)であるポケモンの映画「名探偵ピカチュウ」のヒットや、「マリオカート」のスマートフォンゲームのリリース期待など、株式市場としては話題が豊富にでてきています。今になって思えば、市場参加者が抱いていた当社への懸念点は、会社側が水面下で取り組んでいたことがわかります。無論、当社がこのように様々な企業と協業ができる背景には、当社の組織資産への共感があるためと考えています。

ゲーム業界は世界的な潜在需要が多く、まだまだ成長するサブセクターの一つとみています。一方で、テクノロジーの進化も早く競争環境の変化が早い業界でもあります。そうしたなかで、当社のようにしっかりした理念が会社の根幹にあり、長期的な目線で経営を行う会社が付加価値を得ていくと考えています。

Nintendo Switch

スーパーマリオ オデッセイ (C)2017 Nintendo

※写真は任天堂より許諾を得たうえで掲載しています。

株価・営業利益の推移

出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
データ期間 株価(折れ線グラフ):2014年3月末~2019年5月末(月次)
営業利益(棒グラフ):2014年度~2018年度(年次)

※上記は、2019年5月末時点の組入銘柄の一つをご紹介するものです。特定の銘柄を推奨するものではなく、また今後の当該銘柄の組入れを保証するものではありません。

基準日:2019年5月末

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